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赤ちゃんの脱水症状・脱水予防対策について

2024.01.25

今このコラムを読まれている多くの方は、お子さんの赤ちゃんの元気がなく、緊急に医療機関にすべき脱水症なのかの判断が困難か、もしくは事前にヘルメット治療での脱水予防について興味がある場合と思われます。
 もし前者の保護者の方は、【2】を読まずに「【1】緊急性のある脱水」の以下図のRed Flag(危険信号)状態がお子さんに確認されたら、一刻も早く時間外や休日でも小児医療機関に相談・受診してください。

目次

【1】緊急性のある脱水

赤ちゃんの脱水を評価する上での症状・事項

■症状1.いつもと違い元気がなく見た目に調子が悪そう、もしくはだんだん調子が悪くなっている。
・眠りがちで「うとうと」「ボーッとしている」ので目線が合わない。声かけやオモチャへの反応がない。
・不機嫌であやしても落ち着かず、ずっと泣いている過敏な状態。
・寝ている場合には足の裏を曲げた人差し指でさすっても動かさない、またはまつ毛を触っても手で擦ったりもせず、瞼(まぶた)も動かさない。

■症状2.意識がない

■症状3.けいれんしている

■症状4.目が窪んでいる

■症状5.手足が冷たくまだらな皮膚模様がある

■症状6.呼吸が早い、荒い

■症状7.大泉門(頭の前にある柔らかい隙間)が座った状態で凹んでいる

■症状8.泣いても涙が出ない

■症状9.尿が出ていない・尿の色がいつもより非常に濃く口の中も乾いている(※唇の渇きでなく口の中の粘膜の渇きが重要)

赤ちゃんの脱水を評価する上で重ねて重要な症状・事項

今後、赤ちゃんの脱水が進行する可能性があるので注意が必要な症状・事項

■症状10.持続する嘔吐、大量のオムツからはみ出るほどの下痢が5回以上

特別な配慮が必要な症状・事項

■症状11.生後2ヶ月未満の赤ちゃんや、基礎疾患のある赤ちゃん

胃腸炎以外の病気を注意する症状・事項

■症状12.生後3ヶ月未満の赤ちゃんの38度以上の発熱

■症状13.黄色や緑色の(胆汁性)嘔吐もしくは血性嘔吐※腸閉塞でも黄色や緑色でないこともありますで、ご注意下さい

■症状14.血便もしくは黒色便

■症状15.反復する嘔吐の既往

■症状16.間欠的啼泣等痛みの強い腹痛

■症状17.熱中症

以上の評価が判断困難な場合は小児科医でさえも脱水の評価が難しい時もありますので、決して自己判断せずにまずは相談をされることも大切です。

【2】赤ちゃんの脱水の基本(脱水予防対策)

日常生活での赤ちゃんの脱水予防対策について

定期的水分補給の心がけ

起床時・離乳食時・おやつ時・入浴後・炎天下の外出時や環境温の高い環境は、よりこまめな水分補給が大切です
・ウォーターサーバー等は軟水を使用した湯冷し(硬水は赤ちゃんのお腹に優しくないですね)や麦茶(大人用は薄めましょう)も良いでしょう。
・ほうじ茶、番茶や玄米茶は離乳食開始時期から摂取可能です

炎天下の外出の控えと配慮

>ベビーカー内の赤ちゃんは、道路からの熱の影響で大人の環境温よりより高い状態ですので移動時には配慮が必要ですね。お買い物等は夕方にまたできる限り、日陰内で移動されるのも一考です。

短時間に関わらず車内に赤ちゃんのみでの駐停車の禁止

車内での脱水をはじめとする熱中症の死亡報告は全世界で後を絶ちません。海外ではボルボ社は新型電気自動車EX90というSUVに「車内置き去り防止システム」を装着しました。米国でもいくつかの州で「車内の生体検知センサー」が導入されはじめています。本邦でも車内の生体を検知するセンサーは開発されていますので、車内脱水熱中症の更なる予防対策として考慮するシステムですね。

脱水や熱中症対策の経口補水液の事前購入準備

薬局やドラッグストアで購入可能です。『参考商品:経口補水液オーエスワン(OS-1)

※なおスポーツドリンクは、脱水治療には不適切です。また糖分も高く常習性になったり、虫歯の要因になるだけでなく、長期大量摂取はビタミンB12不足からの「ウエルニッケ脳症」という脳神経障害に至る場合もありますので、常用水分補給としてはご注意ください。

室内環境温の調整

下記「ヘルメット治療の大敵「汗・あせも」の予防策!頭の汗の対処法は? 」のコラムをご参照ください。

ヘルメット治療の大敵「汗・あせも」の予防策!頭の汗の対処法は?

赤ちゃんが脱水になりやすい理由

成人より水分を喪失しやすい

細胞外液の割合が成人より多いので、水分が体の外に出やすい特徴があります。水分の割合は成人が約60%で、新生児が約80%、乳児が約70%と成人より多いので脱水しにくいと思われがちです。体内の水分は「細胞の中にある水分(細胞内液)」と「細胞の外にある水分(細胞外液)」に分けられます。細胞外液は血液・消化管の水分・リンパ液です。

赤ちゃんは、水分が外に出やすい細胞外液が大人と違い多いので脱水になりやすい特徴を持っています。成人にとっては少ない水分の喪失でも、赤ちゃんにとっては体格が小さいので大きな影響になります。

赤ちゃんにとっては体格が小さいので大きな影響

成人にとっては少ない水分の喪失でも、赤ちゃんにとっては体格が小さいので大きな影響になります。

少しの水分の喪失でも体内水分バランスを崩す

成長過程の赤ちゃんは成人よりも必要な水分量が多いことから、少しの水分の喪失でも体内水分バランスを崩す結果となります

皮膚や息からの失われる水分(不感蒸泄)が大人より多い

発汗や排泄物以外の皮膚や息からの失われる水分(不感蒸泄)が大人より多く、発熱等により、多く失われことから体内水分バランスを崩す結果となります

尿としての水分喪失対応ができない

水分の排泄調節の腎機能が未熟なことから尿としての水分喪失対応ができない

大人と違い自力で水分補給ができない

水分不足の訴えが言葉を話せない赤ちゃんは大人と違い自力で水分補給ができない

免疫機能が未熟で、嘔吐や下痢等の体内水分喪失が起こりやすい

大人では軽症な感染症でも免疫機能が未熟で、嘔吐や下痢等の体内水分喪失が起こりやすい

【1】以外の軽症脱水-中等症脱水への対応

母乳と人工ミルクや経口補水液の少量からの頻繁補給

治療においては、お水や麦茶ではなく、水分の効率的補給のため適切な電解質と糖分の調整された経口補水液(ゼリータイプは口にしやすかもしれません)を使用してください(経口補水療法)。母乳やミルクの併用は可能です。

経口補水液がない場合は、以下の飲み物も一時的に代用可能です。

1.スポーツドリンク500ml+塩ひとつまみ(+レモン汁)
2.50%リンゴジュース
3.お味噌汁の上澄み

※むせないよう哺乳瓶でなくスプーンやコップを使用し3~4時間かけて経口補水療法をされてください。改善後にイオン水の配合されたお粥も販売されています。

経口補水療法でも以下の状況では医療機関に相談受診しましょう

・経口補水液等の摂取不可能な場合
・経口補水療法するも先の1.の状況に悪化している場合
・一度医療機関で治療受けるも改善しない、または悪化してきている場合

赤ちゃんの脱水症状に関するまとめ

子供は改善も早いですが、悪化も早い特徴があります。脱水も重症化しないよう日頃の配慮が大切です。

猛暑では熱中症になりやすい危険性が高い環境です。本年は例年にない猛暑です。残暑もまだまだ続くでしょうし、来年も猛暑が予想されます。脱水は熱中症の初期症状ですので、上記の情報をご参考にされ熱中症への移行しないよう脱水にもご配慮ください。

また脱水をきたす要因の多くは感染性胃腸炎ですが、喉の痛みから経口摂取困難をきたすヘルパンギーナや手足口病、熱中症、腸重積等の消化管異常、心筋炎や不整脈等心臓病、多飲多尿をきたす糖尿病や尿崩症他も必要により考慮しなければなりませんので、主治医との連携も重要です。

これまで赤ちゃんの脱水に関して記載してしきました。まだまだ暑い時期が続きますので、ヘルメット治療をされているお子さんも、そうでないお子さんも熱中症には十分ご注意され脱水にならないようにお気をつけていただければと思います。

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