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「いつもと違う」は保護者にしかわからない大切なサイン!違和感を感じたら相談を
赤ちゃんは自分の気持ちを言葉で誰かに伝えることはできませんね。
そのため赤ちゃんは、おなかがすいたとき、眠いとき以外におむつが汚れているときなど気分不快等でも泣いたり、ぐずったりして訴えます。保護者の方は、その都度赤ちゃんの気持ちを汲み取ってあげる必要があり日々大変な思いだと考えます。
特に共に体調が悪いときには判断が難しくパニックになっても不思議ではありませんね。
一方24時間育児に合っておられる保護者の方の観察力は、医療側の診療では非常に大きな助けになります。小児科医の多くは、保護者の方が”赤ちゃんがいつもと違う”と相談される時には、より気持ちを引き締めて慎重に診療にあたります。もし異常がないからといって 怒る小児科医はいないと思います。保護者の方の”いつもと違う”と感じる時には少なからず自信をもって医師にご相談ください。
今回は体温測定するきっかけになる赤ちゃんの発熱について
保護者の方の感じとり方以外に赤ちゃんの状態を容易に評価する手段の一つに体温測定があります。
基礎情報
1.赤ちゃんの発熱は37.5度以上(成人は37度以上)
2.体温計:最近の体温測定方法に、額・こめかみ式非接触体温計と耳式体温計がありますが、具合が悪いときには電子体温計で脇の下(乳児早期は首のくびれでも可能)の計測をおすすめします。 本来ならば直腸温がより正確ですが、衛生面等から本邦では腋下測定が日常測定になっています。
非接触式は、環境に影響をうけます。また耳式は赤ちゃんの耳が、耳垢や外耳道の形や細さ等の問題から正確性に欠けるケースがあるからです。一方脇の下での電子体温計も予測体温になることは念頭にいれる必要はあります。また連続測定の際には、汗を拭いて1分間以上は間隔をあける注意も必要です。
なお水銀体温計は2021年1月1日以降の製造・ 輸出入が禁止となりました。
発熱の原因
1.体温 (セットポイント)を維持する生理防御反応
病原体の感染によって産生された発熱物質により設定温度が上昇し体温を上げることによって体に入ってきた病原体を増殖させないようにし、また脳の体温調節中枢が熱の産生と喪失とのバランスを取ることで、設定された体温 (セットポイント)を維持する生理防御反応
※41.1度を超えることはありませんので、それ以上となると緊急状況です。
2.高温環境や着ぐるみで体温の上昇するうつ熱、熱中症
※41度を超える発熱:高温環境、薬剤性、中枢神経障害他を考慮
3.ワクチン接種後発熱
※肺炎球菌ワクチンの約10%の発熱が接種当日から翌日までにありますが、通常1日以内に下熱します。
なお初回の肺炎球菌接種は、生後2ヶ月からでもあり発熱時の対応には苦慮されると思われます。機嫌を考慮しての対応となりますが、判断がつかない際にはまずは医療機関に受診前の電話相談も一考ですね。
4.免疫系の異常
川崎病他
5.その他
発熱時の受診の目安
3ヶ月未満の発熱
- ・低い免疫能 (少ない抗体、未熟な免疫担当細胞)
- ・脳を守る血液脳関門の未熟
※3ヶ月未満の尿路感染症は男児に多い傾向です。それ以上の月齢では女児の方が尿道が短いため、罹患しやすい傾向にあります
発熱の際の要注意症状がある場合
体温について
- ・40度以上の発熱
- ・4日以上の発熱
※生後約6ヶ月未満は2日間の発熱
見た目等様子についての注意症状
- ・ミルクの飲みが悪い
- ・保護者があやしても落ち着かなく、ぐずりが治まらない
- ・手足の動きが悪い
- ・興味を示さない
- ・視線が合わない
- ・ぼんやりしている
- ・泣き方が弱い
- ・自分で座れない
- ・ぐったりしている
- ・笑ったり遊ぶ余裕がない
- ・首が腫れている
- ・呼吸をさぼる
- ・他
いつもと違う呼吸がある
- ・睡眠障害もある頻回咳嗽や頻回に嘔吐するほどの咳嗽
- ・ゼーゼーする
- ・ウーウーうなる
- ・呼吸が早い
- ・鼻がピクピクする
- ・胸がペコペコ凹む
- ・ゼーゼーを伴う声枯れ
いつもと違う皮膚色がある
- ・蒼白やまだらな大理石紋様皮膚色
- ・赤紫色の小さな斑点(点状出血)や斑(紫斑)
- ・手足の極度の冷たさ
- ・肌荒れでない?発疹がある
- ・BCG接種痕の発赤
発熱以外の要注意症状
- ・下痢のない嘔吐
- ・腹痛?からの不機嫌
- ・オムツからはみ出るほどの頻回(5回以上)の下痢
- ・血便
- ・いつもより尿のオムツの重さが少ない
- ・尿が12時間以上ない
- ・泣いても涙が出ない
- ・耳を痛がって?触る
- ・初めての痙攣
- ・5分以上止まらない痙攣他
(他の痙攣の注意事項は専門サイトのご参照をされてください)
special careを必要とする基礎疾患のある赤ちゃん
発熱の自宅での対処法
発熱は歯の萌出の時期に起こる軽い発熱から潜在性菌血症、髄膜炎、尿路感染症、川崎病、インフルエンザなど重症化しやすいものまでさまざまなので注意が必要ですが、 かといって37.6℃だからすぐに受診するというのは大変かと思われます。
先の注意点がなく少し体温が高いときの対処法をご紹介します。
服を薄着にする
赤ちゃんは大人とは違い汗をよくかきます。背中がほんのり湿っている場合は赤ちゃんが暑いサインです。その場は、大人よりも一枚少ない服装に変えてあげましょう。
クーリング
熱の上がる際は、手足が冷たくぶるぶる震えることがあります。掛け物等を使用して調節されてください。その後汗をかいたりしたら掛け物を外してください。一方その後も発熱が継続し暑がるようでしたら、保冷剤などをタオルに包んで頭部や大きな血管がある首や脇の下、足の付け根などを冷やしましょう。なお冷却シートの使用は、赤ちゃんにははがれて口や鼻をふさぐことがあるのでお勧めはしておりません。
室温を下げる
※赤ちゃんのいる部屋の最適の室温は22~24℃です。冬場はエアコンで暑くなりすぎないよう注意してください。
水分補給
汗をかくと、体の水分量が減少します。母乳やミルクでの水分補給が難しい場合は赤ちゃんが飲めるイオン水で補充することも検討してください。
清拭
汗をかいたら着替えさせてください。水で濡らしたタオルを絞って電子レンジ500W1分で蒸しタオルにして体を拭く対応もお薦めてです。なお蒸しタオル使用前には人肌程度になっていることを確認しましょう。その後乾いた柔らかいタオルで拭き取りも忘れずに。
入浴
無理に入れる必要はありませんが、いつもより低めの汗を流す程度のさっと入れる入浴やシャワーだけでも状態が良ければ可能です
解熱剤
少し体温が下がれば(1度下がるだけでも)機嫌が改善し経口摂取も改善しそうならば「アセトアミノフェン」の使用も考慮されてよいと考えます。38.5度以上に使用と処方箋によく記載されますが、体温は一つの基準ですので機嫌をみて38.4度でも使用は可能です。通常使用する年齢は6ヶ月以降ですが、本邦では3ヶ月からも使用可能です。その際には医師と相談をされてください。
※以上はあくまでも応急処置のようなものですので熱が下がらない場合や注意すべき発熱には受診しましょう。
スターバンド装着されているご家族へ
スターバンドは1日23時間装着が理想です。治療効果は装着時間に比例しますが、熱が出たまま装着を進めるわけにはいきません。基本的に38℃を超える熱があればはずしていただき、38℃以下でもぐったりしていたり体調が悪そうなら無理はしないでください。装着開始時は時間を延ばすのに焦ってしまい、無理をすると、かえってお子さんの体調を悪化させてしまうかもしれません。
AHS Japanの相談窓口はメール・電話・公式LINEがありますのでお好みの方法で相談が可能です。不安なことがありましたらお気軽にご連絡ください。
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かただ小児科クリニック 院長 医学博士
【経歴】
慶応義塾大学病院小児科で初期研修後同大学勤務・東京都立清瀬小児病院(小児循環器・小児麻酔:現東京都立小児総合医療センター)・他慶應小児科関連病院勤務
【講師・委員】
獨協医科大学越谷病院小児科講師・埼玉県立大学看護学科非常勤講師・チャイルドシート検討会委員(日本小児保健協会)ほか歴任
【学会等】
日本小児科学会・日本渡航学会(認定医)・日本小児東洋医学会、日本小児心身症医学会会員ほか
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