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HOSHINOKO DAYORI

星の子だより

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ヘルメット治療終了後の再変形について

アクティブタイプヘルメットの”スターバンド”

 スターバンドの内層は、赤ちゃんの肌への負担が少ないポリエチレンのフォーム材を使用しているアクティブタイプのヘルメットです。アクティブタイプは他のパッシブタイプのヘルメットと違い、赤ちゃん一人ひとりの成長に合わせてその内層を削って調整できるため非常に効率的に装着を完了することができる、というのが特徴です。

 そのため装着期間は約6ヵ月が目安ですが、低月齢でスタートされた方や、比較的形状がマイルドなお子様に関してはそれよりも早く卒業される方が多くいらっしゃいます(スターバンドは変形レベル中等度以上が対象)。
卒業のタイミングは定期的に測定したデータを元にご家族と相談することになりますが、短期間の装着での変化を実際にご覧いただけると、思ったより早く形状に満足され、卒業の相談をされることも少なくありません。

ヘルメット治療後の再変形について

 

 そこで「卒業してからの再変形が心配です」とのお声をいただくことがあります。
せっかくヘルメットでまん丸になったのに、向き癖で治療前の状態に戻ったりしないか、というお話です。

 以下は一部少し難しい内容になりますが、お役にたてれば幸いです。

頭蓋骨の役割【出産時】

 赤ちゃんにおける頭蓋骨の最初の役割は、出産時に狭い産道を通過しやすいように頭蓋の形を柔軟に変化し無事出産されることです。そのために出生時までに大部分の頭蓋骨は幅の広い骨となっていますが未だ骨化が不十分のまま柔らく、また各頭蓋骨のすきまである頭蓋縫合※¹(広く大きな大泉門※²はその代表です)がいくつも存在します。

頭蓋骨の役割【出産後】と成長

 頭蓋骨の出産後の役割は脳の保護と成長になります。
頭蓋骨は、胎生期に膜内骨化(膜性骨化)という機序で発生します。
膜内骨化は2018年に発見された皮質骨外側の骨膜に存在する骨膜幹細胞が骨芽細胞へ直接分化し最終には骨細胞になる骨形成方式の一つです。

膜内骨化では、各骨の中央から骨化が始まり周辺に向かって広がります。
各骨辺縁にある頭蓋縫合から常に新しい骨芽細胞が供給され,これらの細胞が既存の骨の端にさらに新しく骨を継ぎ足すことによって,頭蓋,顔面の骨は脳の成長に見合った速度で大きさを辺縁から増していきます。

頭蓋の前半分とほとんどの顔面の骨は神経堤細胞由来であり,頭蓋の後ろ半分は沿軸中胚葉由来※³です。
神経堤細胞由来の骨は中胚葉由来の骨に比べて増殖能が高く前頭縫合は他の縫合より早期に骨化し始めます。
進化の過程で赤ちゃんは愛着形成をしやすくするためにお顔の一部である額もしっかりと早めに形作る必要があるためと考えられています。

ヘルメット治療終了後の再変形の可能性

 そのため位置的頭蓋変形のヘルメット終了後の前頭部の再変形の可能性は、前頭縫合(額の骨の正中にある縫合)の骨化と前側頭泉門は、早いと生後6ヶ月には終了・閉鎖しますので、これ以降は少ないと思われます。

 頭部後方も、後頭部の小泉門が生後早期に閉鎖し、各骨の骨化も当初より広範囲に進展し、頭蓋を支える頸部や体幹力も発達し、また睡眠時間も減少し「変形する要素」が少なくなりますので卒業時期の月齢7~8ヶ月を超える頃には再変形の可能性は少なくなると言えるでしょう。

外的環境の変化による変態について

 一方骨は、外的環境の変化に対応してその形態を変えることのできる組織でもあります。ハイヒールでの外反母趾はよく知られた疾患ですね。“正常にせよ、異常にせよ、骨はそれに加わる力に抵抗するのに最も適した構造を発達させる”というWolff の法則があります。

 後側頭泉門は1歳まで閉鎖しておりませんので、もちろん月齢7~8ヶ月を超えたから安心、というわけではありません。将来的に筋肉の発達や骨格の左右差が生じないよう、タミータイムなどを通してお子さんと遊んであげてください。赤ちゃんの発達・発育に関しては個人差が大きく、比較が難しい部分がたくさんあります。困ったことや不安なことがありましたらかかりつけ医にご相談ください。

<注釈>

頭蓋縫合※¹:頭部は、複数の骨が組み合わさってできており、その骨と骨のつなぎ目の膜性繊維性結合組織部分。

泉門※²:いくつかの縫合の接合部骨質を欠く膜様結合組織部。

沿軸中胚葉由来※³:脊椎動物の個体発生の一時期に現れる体を支持するような組織、筋肉や骨、軟骨、真皮などの細胞集団

(本文 かただ小児科クリニック院長 堅田泰樹監修)

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